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高齢者の転倒予防対策について | ケア21コラム

高齢者の転倒予防対策について | ケア21コラム

10月10日は「転倒の日」。
高齢者にとって、転倒・転落は骨折や頭部外傷等の大けがにつながりやすく、それが原因で介護が必要な状態になることもあります。
ケア21コラムでは、より良く健やかな毎日のために、このような事態を未然に防ぐためにどのような点に注意すればよいのかご紹介します。

1.高齢者の転倒予防
(1)日常に潜む転倒リスク
(2)高齢者が転倒した際の危険性
(3)転倒予防のポイントは『ぬかづけ』

2.転倒予防のための健康管理
(1)適切な栄養管理
(2)適度な運動
(3)体重管理

3.転倒予防のための生活習慣
(1)歩行習慣を維持する
(2)家の中で安全な環境を整える
(3)安全な服装・装備をする

4.転倒を防ぐグッズのご紹介
(1)生活動線上に手すりの設置
(2)入浴時の転倒予防に「入浴用マット」「浴槽手すり」を活用
(3)室内での転倒防止に「ケアシューズ」
(4)もしもの転倒時に身体を保護するグッズ

5.転倒が起こってしまったら

6.まとめ

1.高齢者の転倒予防

転倒の原因は、加齢によるバランス能力や筋力の低下だけではありません。
認知・視覚・聴覚の機能・薬剤や環境の影響など、様々な要因で転倒を引き起こします。
そのため転倒要因を理解し、未然に防ぐことが重要と言えます。

出典:公益社団法人 日本理学療法士協会 転倒予防ハンドブック  https://www.japanpt.or.jp/activity/asset/pdf/handbook18_whole_compressed.pdf

(1)日常に潜む転倒リスク

消費者庁には、医療機関ネットワーク事業1を通じて、65歳以上の高齢者が自宅で転倒したという事故情報が、平成27年4月から令和2年3月末までに275件寄せられています。これは、高齢者の転倒事故を発生場所別に見たとき最も多く、48%を占めています。実際の報告例を見ながら家庭における転倒リスクについて見直してみましょう。

屋内
自宅内での発生場所が分かっている144件を見ると、「浴室・脱衣所」27件、「庭・駐車場」26件、「ベッド・布団」23件、「玄関・勝手口」22件、「階段」22件で多く発生していました。

【事例1/ベッドからの移動時に】 夜間、自宅のベッドからポータブルトイレに移動の際に誤って転倒した。足の痛みで動けなくなり、朝になっても改善しないため救急外来を受診。診察の結果、大腿骨だいたいこつ骨折で入院。 (平成31年2月、80歳代女性、要入院、中等症)

【事例2/階段でぐらついて】 階段を降りている際に左足首をひねり、そのまま2、3段降りたところ、バランスを崩して左側の手すりに頭部を打撲。出血が多く、救急搬送された。 (平成30年8月、70歳代女性、要通院、軽症)

屋外
外出中の転倒についても滑り、段差、障害物がキーワードとなります。摩擦係数の低い大理石、リノリウムの床、雨に濡れたマンホール、一段高くなった歩道、縁石などが転倒し易い箇所として挙げられます。自宅ではないためこれらを解消することは難しく、転び難い道を選ぶ等経路の変更でリスクを減らすことはできますが、初めて訪れる場所などの細かな情報を収集することは現実的ではありません。

【事例1/駐車場でつまずく】 駐車場の車止めにつまずいて、転倒した。左後頭部の皮下出血と、右手首の骨折。 (令和元年8月、70歳代女性、要入院、中等症)

出典:消費者庁WEBサイト
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/caution/caution_040/

(2)高齢者が転倒した際の危険性

高齢者にとって、転倒・転落は骨折や頭部外傷等の大けがにつながりやすく、それが原因で介護が必要な状態になることもあります。たとえ、骨折の症状が軽くても若いときに比べると回復に時間がかかります。さらに、転倒による不安や恐怖で何事にも意欲がわかず、気力がなくなり、活動性が低下し、活動性の低下が転倒リスクの増加を招くという悪循環につながっていきます。
「令和元年国民生活基礎調査(厚生労働省)」によれば、高齢者の介護が必要となった主な原は、認知症、脳血管疾患(脳卒中)、高齢による衰弱と続き、「骨折・転倒」が12.5%を占め、4番目の多さです。

出典:政府広報オンライン
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/202106/2.html#section001

(3)転倒予防のポイントは『ぬかづけ』

日本転倒予防学会が提唱している転倒しやすい環境の場所の頭文字をとった言葉です。身の回りを見直してみましょう。

「ぬ」は、濡れているところ(浴室や洗面所、台所など)

「か」は、階段や段差(部屋と部屋の間の段差など)

「づけ」は、片づけていないところ(茶の間や廊下など)

2.転倒予防のための健康管理

(1)適切な栄養管理

年齢を重ねると食事量が減る方が多くいらっしゃいます。充分な栄養を摂れずに痩せてしまうと必要な骨や筋肉を維持することができなくなってしまいます。骨を強くするカルシウムやカルシウムの吸収を助けるビタミンD、筋肉を維持する役割を担うたんぱく質や高齢者に不足しがちな油脂類など、バランスの良い食事を心がけましょう。盛り付けなど見た目を変えることも食欲増進につながります。
時には宅配食事サービスを利用してみるのもいいかもしれませんね。

(2)適度な運動

厚生労働省「健康づくりのための身体活動基準2013」では、高齢者がより長く自立した生活を送るためには、運動器の機能を維持する必要がある。とした上で、運動基準を<65歳以上の身体活動(生活活動・運動)の基準>  強度を問わず、横になったままや座ったままにならなければどんな動きでもよいので、身体活動を毎日40分行うことを推奨しています。

<例>
・皿洗いをする
・洗濯をする
・立って食事の支度をする
・子どもと軽く遊ぶ
・時々立ち止まりながら買い物や散歩をする
・ストレッチをする
・ガーデニングや水やりをする
・動物の世話をする
・座ってラジオ体操をする
・ゆっくりと平地を歩く

など、日常生活の中で行うことも身体を動かす運動の一つになります。
※必ず、無理のない範囲で行いましょう。

出典:厚生労働省「健康づくりのための身体活動基準2013」及び「健康づくりのための身体活動指針(アクティブガイド)」https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002xple.html

ケア21では理学療法士が考案したトレーニングやストレッチ等をYouTubeで配信しています。

(3)体重管理

高齢者の健康において、体重管理は非常に重要です。(1)適切な栄養管理 でも述べたように高齢者は食欲や食事量の減少等で体重が減る傾向にあります。

高齢者においてはフレイル(虚弱)と生活習慣病予防の観点からBMI値21.5以上が目標となっています。
下記を参考にご自身のBMI値を把握し、日々の健康管理の一つの目安としてみてください。
※あくまで目安です。
持病などをお持ちの場合には主治医の指導の元体重管理などを行ってください。

【BMIの求め方】

体重(㎏)÷身長(m)÷身長(m)

※身長160cm、体重60kgの場合:60(㎏)÷1.6(m)÷1.6(m)=23.4

【年齢ごとの目標とするBMI】

年齢18〜49歳50〜64歳65〜74歳75歳以上
目標とするMBI値18.5〜24.920.0〜24.921.5〜24.921.5〜24.9

3.転倒予防のための生活習慣

(1)歩行習慣を維持する

2.転倒予防のための健康管理 でも述べたように、転倒予防を含めた健康維持のためには適切な運動習慣が必要です。中でも歩行習慣は非常に重要であるとされています。
厚生労働省が定めた目標値は、65歳以上の男性・女性共に1日6,000歩です。

※ご自身の体調に合わせ、必要に応じて主治医としながら無理のない範囲で行ってください。

参考:厚生労働省「健康づくりのための身体活動基準・指針の改訂に関する検討会 資料2」
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001112504.pdf

(2)家の中で安全な環境を整える

転倒リスクを軽減し安全で快適に過ごせる生活環境を整えましょう。床に物を置かないようにする、電気コードを壁に沿わせるなど、少しの工夫で転倒の要因を減らすことができます。
また段差やすべりやすい床など、転倒のリスクが高い場所は、住宅改修・介護リフォームも検討しましょう。要介護認定を受けている方は、介護保険を利用して住宅改修・介護リフォームを行うことができます。ぜひ担当のケアマネジャーさんに相談してみてください。

(3)安全な服装・装備をする

脱げやすい靴や、サイズが合っていない靴を履いていると転倒しやすくなります。つま先が少し上がっているデザインの靴や、足の形に合わせやすいマジックテープ付きの靴など、転倒防止につながる靴を選ぶようにしましょう。歩行を安定させるために、杖などの介護用品を利用するのもよいでしょう。

4.転倒を防ぐグッズのご紹介

(1)生活動線上に手すりの設置

手すりは、立ち座りや寝起きなど、その場で上下の動作を支え、立位の保持~歩行の補助という、移動を助けます。日常生活の中で手すりを活用して身体を支えることで転倒防止につなげます。手すりは、必要とするご本人の生活動線に沿って使い易い位置に設定されていることが重要です。

玄関に設置された手すり

トイレに設置された手すり

(2)入浴時の転倒予防に「入浴用マット」「浴槽手すり」を活用

入浴用マットや浴槽手すりを使うことで入浴時の「滑りそう」「浴槽をまたげない」「立ち座りがつらい」などのご不安を和らげ、転倒を防止します。

(3)室内での転倒防止に「室内履き」

「靴底に二か所すべり止め加工がある」「かかとにゴムがついていて脱げにくい」など、高齢者向けに工夫がされている室内履きがあります。
高齢者の中には血行が低下して冷えを感じる方が多く、柔らかい素材があたたかく足を包みこんでくれる室内履きは保温の役目も果たします。

(4)もしもの転倒時に身体を保護するグッズ

充分に予防をしていても転倒してしまった際、身体を守ってくれるグッズもご紹介します。

●ヘッドガード
転倒時の頭部への衝撃や怪我の度合いを軽減します。









●クッションパンツ
大腿骨を衝撃から守ります。

5.転倒が起こってしまったら

呼び掛けても反応がない、呼吸をしていない等、明らかに異常がある場合にはすぐに119番に電話して救急車を呼びましょう。意識があり、呼吸も脈拍も異常がない場合にも下記のような専門機関に相談すると状況に応じた助言を仰ぐことができます。転倒事故の直後に異常がなくても経過を観察し、少しでも気になることがあれば医師の診察を受けましょう。

救急安心センター事業#7119

「救急車を呼んだ方がよいか」、「今すぐ病院に行った方がよいか」など、判断に迷ったときに、「♯7119」(又は地域ごとに定められた電話番号)に電話することで、救急電話相談を受けることができます。
♯7119に寄せられた相談は、医師、看護師、トレーニングを受けた相談員等が電話口で傷病者の状況を聞き取り、「緊急性のある症状なのか」や「すぐに病院を受診する必要性があるか」等を判断します。相談内容から緊急性が高いと判断された場合は、迅速な救急出動につなぎ、緊急性が高くないと判断された場合は受診可能な医療機関や受診のタイミングについてアドバイスを行います。
また、「体調が悪いけど、どこの病院に行ったらいいか」といった相談に対しても、受診可能な医療機関を紹介します。

出典:消防庁
https://www.fdma.go.jp/mission/enrichment/appropriate/appropriate008.html

6.まとめ

日常生活の中に潜む転倒リスクを知ることで、転倒を予防し、健やかで、
明るく、元気に、楽しく、たくましく100年続くいい身体を作っていきましょう!

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