ジャーナリストから見たケア21~雨ニモ負ケズたくましく~顧問SENSE NO.3

 柳 幸夫

当社顧問(柳 幸夫さん)が書いたケア21の理念などを盛り込んだ、エッセーを紹介いたします。

当社の社風を知る手がかりにしていただければ幸いです。

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         雨ニモ負ケズたくましく

顧問SENSE No.3

山高帽に雨傘と言えばすぐに英国紳士を思い出すが、そんな格好の英国人に出会うのは稀なことだ。一部の上中流階級の人々を除いてホームズのような人物像は小説の世界のもの。これには少なからず英国特有の天候が関係している。というのも英国では一日中雨が降るといった長雨は少ない。1年はほぼ冬期と夏期しかないものの、1日単位では四季があると言われるほど天気がめまぐるしく変わって雨が降っても通り雨が多く、建物の軒下で一寸時間を過ごせば止むこともしばしば。それでも止まないときは雨に濡れたまま足早に歩みを進める。

さらに人口の約70%が移民と言われるロンドンでは優雅に傘をさしている光景は珍しい。ましてや私がいた国際観光・学園都市ブライトンでは猛烈な冬場の風雨のときもアフリカ系や中東系、欧米の学生が傘もささず時に鼻水たらしながら、ニット帽と普通の上着だけで通学をしていた。その中の1人、イランから来た女子学生はイラン初の女性裁判官になるのを夢見て大学院に留学。英国の法概念で慣習を基調にした「コモン・ロー」を学びに来ていた。当時はイランとアメリカが雪解けで西洋文化を受け入れて女子でも海外留学ができる環境が整い始めていた。現在は米国への入国禁止の大統領令で冬に逆戻りしつつあるが、そのときの彼女らの目は勉強できる喜びに輝いていた。

イランのように教育水準も識字率も高い中東系の学生がそうならば、識字率が低いアフリカ系の学生はなおさらだ。ナイジェリアから来た男子学生は難病を患いながら、同胞や級友の援助を受けて経済の勉強をしていた。残念ながら、欧米や日本人と違ってヨーロッパの歴史や経済について教育的バックボーンがない彼にとって修士習得の夢は叶わなかったが、必死で講義メモをとる姿は他学生の模範だった。

だからと言って、ケア21に来る新卒がそうした若者の熱意に劣るとは思わない。入社式や内定式で垣間見られる真摯な眼差しは「福祉の分野に携わりたい」という崇高な志の賜物だろう。そうした仲間には祖母や祖父の影響から「お年寄りの世話が大好き」という若者も少なくない。ケア21はそうした思いに応えるべく日々、働きやすい人事改革に腐心している。

                                  2017.5.15