ジャーナリストが見たケア21~顧問's EYE No.8

 

当社顧問(柳 幸夫さん)が書いたケア21の理念などを盛り込んだ、エッセーを紹介いたします。

当社の社風を知る手がかりにしていただければ幸いです。

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顧問's EYE No.8

きょうは「お金」と「信用」の話。世界には一体どのくらいのお金があるのかご存知だろうか。各国の国家予算や貿易収支などの指標を駆使すれば約9000兆円と言われる。しかしこれはお札やコインなど実体経済での総計であって、サブプライムローンなどの金融債や為替、ディリバティブ(金融派生商品)など投機的なオンライン上の怪しげな取引を含めると約10倍の9京にのぼる。まさに天文学的な数字だが、実体経済の裏打ちのない、お金と呼ばれるものが出回っているに過ぎない。なぜなら金本位制が廃止されているうえ、世界には日銀のような総元締め的な中央銀行が存在しないからだ。世界銀行はあるが、これはもっぱら発展途上国や各国の中央銀行などに融資を行う銀行であってお金を発行する中央銀行ではない。要するにお金は漠としたもので実体は分からない。

景気が良い悪いと言うが、「気」という捉え方はあながち間違いではない。消費に象徴されるように経済の循環は気に左右される事があるのもご承知の通りだ。では獏としたお金を扱う経済の中で一番大切なものはなんだろうか。それは信用、いや、ケア21風に言えば「信頼」だ。そんなことを考えていたら、吉報が飛び込んできた。ケア21が京都府の「きょうと福祉人材育成認証制度」で認証取得したのだ。今年1月には「パートタイム労働者活躍推進企業表彰」の厚生労働大臣賞を受賞しており、「信頼」を基調にした人材育成の分野で新たな勲章が加わった。

事務局によれば、同認証制度は京都府が4年前から全国に先駆けて導入し、福祉人材確保と業界の育成・見える化を旨として運営している。4分野17項目の審査基準すべてをクリアしていることが条件。「新規採用者育成計画や人材育成計画の策定や実施、OJT(従業員教育)、キャリアパス、昇給制度、その他働きやすい職場作り等に取り組み、学生の方々などにおススメできる職場であると認証させていただいたもの」だ。

人事担当の松岡と久保田を中心に昨年7月から取得準備を進めて11月の申請からわずか4か月の最速認証となった。松岡は「ケア21の根幹にある『人を大事にし、人を育てる』経営理念の下、年間300以上の研修の実施やキャリアステップの明確化、賃金が安いと言われている福祉業界において待遇改善等に努めてきたことを、京都府より認証頂けたのは光栄なこと。ケア21では『部下を信用ではなく信頼します』という業務スタンスがあります。条件付きの「信用」ではなく、無条件の「信頼」を行っていくことで今後も働きやすい会社を実現し、福祉業界のイメージアップに貢献していきたい」と力強く話す。(敬称略)                                                                   

2017.4.4

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ディズニーと肩並べる
顧問's EYE No.7

「うちがあのディズニーランドと肩を並べたんだよ」。定例の月曜日朝礼や幹部を集めた経営会議で社長の依田は満面の笑みを浮かべて今年度の「パートタイム労働者活躍推進企業表彰」の厚生労働大臣賞受賞決定を喜んだ。最高賞の大臣賞(最優良賞)には全国でケア21とともにディズニーランドを運営するオリエンタルランドの2社が選ばれた。受賞決定は「人を大事にし、人を育てる」という経営理念が国に認められた瞬間でもあった。
厚生労働省によれば、この賞はパートタイム労働者がいきいきと働くことができる職場環境の整備やキャリアアップを進めるために独自性がある人事制度を実施してきた企業を表彰するもの。安倍首相が推進する同一労働同一賃金政策とも軌を一にする。正規・非正規間で賃金決定方法が分離している日本の現状を鑑み、雇用形態を問わず「共通的である」仏独の制度を検証してこの概念を敷えん、格差是正を目指す。ケア21では2000年の介護保険制度開始とともに会社が発足した当時から「経営理念を遂行するには正社員とパート労働者の垣根を取り払わなければならない」と採用した。
ケア21は正社員とパートタイム労働者で同じ人事評価制度・同じ基準で昇給・賞与支給したり、面談やチューター制度により入社時の不安や悩みを解消したりするなど正社員との均等・均衡待遇の推進や、正社員への転換促進を実践してきた。「入社時研修で週1日の労働者も週5日の労働者も当社の事業の方向性を知ってもらうため一緒に入社時研修を受けてもらっているのですが、賞与をパートさんに出しているところは少ないらしく、他社から来た人たちから私たちも賞与が貰えるのですかという質問を受けたとき、うちの制度はすばらしいものだと気づいたのです」。人事担当の白井は言う。
12月20日にはケア21のデイケアセンター「たのしいデイひらの」(管理者 中島)で厚労省による受賞企業の取り組み紹介のビデオ取材を受けた。中島とともにインタビューに臨んだ白井と研修担当の松岡は慣れないカメラの前で緊張の連続だったが、「わが社の方向性は間違っていなかったというお墨付きをいただいた。同業他社のみならず他業種に対しても誇れる人事制度として発信し続けます」と意気込む。21世紀の介護業界をリードしたいと願って名づけられたケア21。従業員ケアでも最先端の人事制度で業界を牽引している。(敬称略)

2017.1.11

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社会を創る医療連携
顧問's EYE No.6

 「病院は病気を治すところで介護を主体とするところではないのです」。13日医療連携事業部のセミナー冒頭で部長の久保はこう述べた。増大する診療報酬抑制と75歳以上が5人に1人になる2025年問題に備えて国は早期退院を促すリハビリへの報酬加算を増やしたり、在宅介護を支援したりする制度や政策に移行している。介護と医療の連携は不可欠で「そうしないと病院経営と患者退院の質は担保できない」という訳だ。ともすれば医学理論重視の病院領域の看護と違い、介護領域の看護はときに「利用者本位で柔軟」と評される。
 医療連携の一翼を担うのが介護では介護福祉士やケアマネージャーであり、病院では医療福祉士らのソーシャル・ワーカーや退院調整ナースだ。介護福祉士らが入所者の病状を病院に報告。入院手続きの手伝いをする。医療福祉士らは退院する患者に居宅介護の事業者や老人ホームを紹介する。医療と介護のかかわりは福祉という社会を形成する。セミナーでそんな福祉社会の仕組みを習ったとき、経済学で学んだ有名な言葉を思い出した。
'There's no such thing as society'(社会なんてものはない)。サッチャー英元首相が1987年の雑誌のインタビューで述べた有名な言葉だ。当時、彼女は社会の存在を否定してレーガンとともに個人主義に基づく小さな政府や減税を実施。金融ビッグバンをはじめとした規制緩和を強力に推し進めた。しかしながら、サッチャーリズムと称された政策は今日パナマ文書で問題になっている租税回避の風潮の下地にもなった。この言葉も今は学問の世界で批判の対象として生き残っているだけだ。
介護は福祉というフィールドで人と人を結びつけ老人に寄り添い、生きがいや安らぎの場を提供して社会を創造する崇高な仕事だ。それゆえケア21は質の高いケアと経営効率を両立させたオランダの先進ケア組織ビュートゾルフの理念を現地研修で取り入れたり、リハビリを充実させたりするなど日々腐心している。この努力こそがよりよい社会への糧なのだ。言い換えれば、介護の質が下がったとき、社会の存在意義が問われることになる。(敬称略)                                             

2016.5.13

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桜のつぼみ
顧問's EYE No.5

各地で桜の便りもちらほら届き始めた3月28日、ケア21の新卒入社式が大阪本社研修室で開かれた。大阪、東京両本社、名古屋、福岡両事務所管内、さらにグループ会社を含めた総勢67人が参加。新入社員たちは「社会の一員として困難に出会うことも厳しさを知ることもあると思いますが、現場第一主義、お客様本位の経営理念のもと2035年のケア21日本一の原動力になることを誓います」と決意を新たにした。
式では社長の依田平がまず「ケア21は負け組、勝ち組を作る会社ではないので、互いを思いやり切磋琢磨して安心して職務を遂行してください。全てのキーワードは『人のため』『人を育てる』です」と激励。各地域、グループ会社の代表に「職務の研鑽と人格陶冶に精進され、会社の期待に応えられるよう望みます」と配属辞令を手渡した。午後からは早速入社研修が行われた。
ケア21の新入社員教育のベクトルは常に「人」に向かい明確だ。研修も「社会人としての自覚を持とう」と題して社会人としての役割を自答させるもの。コーチ役の人財支援担当の松岡理香子は「答えがあるというものではありません。今感じていることを素直に書いてもらって結構です」と促す。ケア21がここまで「人」にこだわるのはなぜだろう。そんな想いを抱いたとき、ふと昨日見た大河ドラマ「真田丸」を思い出した。真田幸村は上杉景勝の人質となったとき、景勝から義を大切にする「第一義」の精神を学んだ。
翻って、依田も幸村らゆかりの上田衆の末裔。今も人々の心を捉えてやまない義に生きた幸村の生き方が経営理念の深層に刻まれているのだ。初日の研修を受けて新入社員の堀真帆は「自分は甘いなあと感じました。社会人としてもっと自覚を持ちたいと思いました」と語る。三寒四温を経て桜が開花するように新入社員のつぼみもケア21で社会で、もまれて義(社会貢献)の精華を咲かせることだろう。(敬称略)

2016.3.28

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健全なる魂
顧問's EYE No.4  

Sアミーユ川崎の虐待事件の容疑者は「過酷な当直勤務でのストレス」を動機として挙げ、介護スタッフの心のケアが改めてクローズアップされている。ストレスを溜め込まずどう発散するかは介護に従事する者にとって重要な課題だ。先月中旬、訪問介護ステーション「ケア21東淀川」でステーション主催の新年会が開かれた。新年会は和気あいあいのうちにも本音が飛び交いケア21ならではの開放感あふれるものだった。
本社員を含めて所属の管理者やケアマネージャー、サービス提供責任者(通称サ責)、ヘルパーら32人が鍋を囲んでの宴席は無礼講だ。「ステーションには事務員は必要」と事務職からヘルパーに転身したベテランが社長に訴えれば、他の参加者からは「社長、もっとボーナス上げて」。依田は苦笑いしながらもざっくばらんな雰囲気にどこか楽しそうだ。ステーション管理者の花本は「現場の従業員は直接トップと話せることが少ないので貴重な機会。みんなのリクエストで依田さんの参加が実現しました」と話す。
飲みニケーションは時代遅れだという声もあるが、社長の顔も知らないという会社も増えてきた昨今、再び重要性が認識されている。コミュニケーション不足で起こる不測の事態を防ぐうえでも会社運営を円滑に進めるためにもまだまだ大切な潤滑油なのだ。現場第一主義を掲げている社長の依田はどんなに忙しいときでもスケジュールが空けば各ステーションや施設の懇親会に極力参加することにしている。しかしながら、飲みニケーションの機会があるなしは問題ではない。
何より大切なのは社員が垣根なく本音をぶつけ合える会社になったということなのだ。従業員1000人以上の大企業で、社長に「ボーナスを上げて」と本音をぶつけられる会社が日本に如何ほどあろうか。これこそが依田が追い求めてきたことだ。父親も長野で従業員200人の精密電子工場の社長だった。依田は経営者としての哲学を学んできた。イギリスの経済学者マーシャルの言葉に「経済に関わる者は冷静な頭脳と温かい心を持て」という名言があるが、人間味あふれる経営理念は「とにかく優しくて人望があった」という父親の背中を見て育った賜物だ。ケア21はいま、依田が幼いころから心に描いてきた理想の会社に近づこうとしている。(敬称略)

2016.3.7

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自由と自立の経営
顧問's EYE No.3  

 いい会社創造会議―ケア21の経営企画会議の新名称だ。以前は経営戦略会議と呼んでいた。「私たちは、ご利用者の命を守るのが仕事。誰かと戦うために仕事をしているわけではない」(依田社長)と昨年11月から名称変更した。名称の優しい響きにはそんな思いが込められている。「戦い」よりも建設的な話し合いによる「創造」こそ、良い会社の原動力という訳だ。
 しかしながら、依田が名称を変更したのには社員の「自由と自立」を促す狙いもある。依田は一代で、いや、わずか14年でケア21を介護業界大阪No.1の地位に築き上げた。一代でのカリスマ経営は時にワンマン経営に陥る危うさをはらむ。社長や経営幹部が全てを決めるトップダウン方式では限界が来ることを知っていた。新春初の会議でも「自由と自立とは楽しく仕事ができるよう自分自身で問題解決することだ」と呼びかける。
近・現代の経営学は、米の経営学者D・テイラーによる労働者の科学的管理法から米の心理学者で経営学者D・マグレガーらが提唱したモチベーション重視に変わってきた。フォード式の大量生産方式(フォーディズム)は科学的管理法の流れを汲むものだ。これに対して、マグレガーはその著書「企業の人間的側面」(1960)で「人間は仕事を通した目標達成や自己実現の欲求を持っている存在......個人の創造性や工夫を、誰もが活かせる環境を作るべきだ」と権限行使と命令統制による経営手法を批判した。この考え方は金融工学や新自由主義に代表される米国の新たな合理主義の台頭で一時省みられなくなっていたが、サブプライムローン問題の反省からヒューマンな経営手法として再び脚光を浴びている。いい会社創造会議はまさに時代が求めるものなのだ。
会議では「毎回人財獲得、事業所の不満解消を議題にあげ話し合い、施策に落とし込む。従業員の不満解消、要望実現が、現場第一主義につながる」(依田)。従業員からの要望を一つひとつ拾い上げて吟味、優れた提言は即断即決で経営に反映する。多品種少量生産で家族主義のトヨタの経営(トヨティズム)にも通じるモチベーションや個性を大切にする社風、「個の精神」は着実に育っている。(敬称略)

2016.1.22

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人間らしい会社へ一丸
顧問's EYE No.2

 「電話の対応はしっかり」「入居者さんからの修理依頼の対応は迅速に」。暮れも押し迫った21日、西日本の介護事業の管理者が一堂に会した席上、参加者らはより良いサービスや職場にするために真剣な表情でグループディスカッションに臨んだ。ケア21は「自由と自立」を掲げて人間教育に注力してきたが、この会議は西日本の管理者による初の全体会議として開かれた。
虐待や転落死など次々と不祥事が明るみに出たメッセージ。常軌を逸した冷酷なケアは介護業界を揺るがし利用者本位のサービスの大切さを改めて喚起した。「介護を分単位でマニュアル化して人件費を抑え利益を上げるやり方が不祥事を招いた」。あいさつに立った依田社長の指摘は辛辣だ。結局、メッセージは損保ジャパンに買収された。サービスが低下したり、虐待のような不祥事が起きたりすれば「明日はわが身」であることを依田自身、重々承知しているのだ。
初の全体会議を開いたのも危機意識を共有してより一層のサービス向上に繋げるのが狙い。けれども、ケア21は「サービス向上はよりよい職場から」と8年前から、優秀なサービスを提供した管理者らに施設ケアの先進地オランダなどへの海外研修を施す啓発イベントを展開している。23期はテロの影響で延期となったが、現場の大きな励みになっている。
私はイギリスに留学中、白衣の天使という言葉を創ったナイチンゲールの話を幾度となく聞いた。彼女は言う。「価値ある事業は、ささやかな、人知れぬ出発、地道な労苦、向上を目指す無言の、地道の苦闘といった風土のうちで、真に発展し、開花する」。看護と介護、言葉は違えども、その精神は共通で普遍だ。地道な労苦を惜しんでサービスが低下すれば、転落死といった最悪のケースを招きかねない。「利益を追求すると空回りするので、とにかくよいサービスをすることを心掛けた」。「コミュニケーションが大切」。第一線で働く管理者たちの言葉だけに誰よりも頼もしく聞こえた。ケア21のスタッフが天使と呼ばれる日もそう遠くはないだろう。(敬称略)

2015.12.28

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成長の原動力 「楽観」の社風
顧問's EYE No.1


「サンぺーです」。第23期中途入社時研修。会社方針の説明で社長の依田平(よだたいら)が持ち前の明るさでギャグを披露する。10数年前にブレイクした流行遅れのギャグ、当然のことながらスベる。しかし依田は苦笑しながらも意に返さず話を進める。掛布のモノマネなどウケを狙う得意なギャグもあるが、あえてスベるギャグを披露して研修初日で緊張している受講者を和まそうという依田一流の演出だ。同時に口ぐせにしている「失敗を恐れない」ポジティブな姿勢を自ら実践してみせたのだ。
「楽観」を成長の原動力とし「無理」「怖い」など脳にダメージを与えるネガティブな言葉は社内では使わないよう社員に諭す。「人を大事にし、人を育てる」理念を経営の柱に据え明るい社風づくりに腐心する。あいさつ運動もその一つだ。上下の隔てなく社員は役職ではなく名前で呼び合い、昼のあいさつとして「お疲れ様です」を励行する。他社で問題化したいじめや陰湿な労働環境とは無縁の会社だ。研修でも初日からこうしたポジティブな潜在能力を引き出すコーチングに多くの時間を割いていた。
カリスマ経営者を紹介するテレビ番組の「賢者の選択」にも登場した依田の理念は確実に社員に根付いている。2日目の研修に登壇した人事部長の余田も「わたしの名前はヨダではありません。ヨデンです」と社長に負けじと軽快に話しかけ、研修は徐々に笑いに包まれていく。新聞社やホテルの硬い研修しか経験したことがない私には新鮮であり驚きでもあった。8年連続増収増益の成長はこうした明るい社風の賜物なのだ。
しかしながら、ケア21は単なる利益追求の会社ではない。「最大ではなく最高のサービス」を経営理念に掲げる。イギリスの哲学者で経済学者ジェレミ·ベンサムの言葉「最大多数の最大幸福」とは一線を画す。資本主義を推進するスローガンとして有名なこの言葉は同時にややもすると人をないがしろにして利益だけを追求する功利主義を象徴する言葉として学問の世界ではとらえられている。ケア21は人を大切にして介護事業を通じて最高のサービスを提供する会社なのだ。「今日も明るく元気に楽しくたくましく、100年続くいい会社を創っていきましょう」。依田の言葉に偽りはない。(敬称略) 

2015.12.7